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たまに電気代が安くなっている!?燃料費調整額のからくり

燃料費調整という言葉、耳にされたことあるでしょうか?よくご存知という方は、かなり電力会社に詳しいか国際情勢に明るい方でしょう。

実はこの燃料費調整、日々の電気代に関連しています。毎月の電気代の明細書に記載されており、いつの間にか電気代が値上がりしていたり割引されていたりします。
一体「燃料費調整」とは何なのでしょうか。

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燃料費調整のからくり

今日はこんなことを紹介してみたいと思います。

皆さんが払っている電気代、料金プランが同じでいつも同じだけ電気を使っていれば同じ請求金額になると思っていませんか?

実は同じだけ電気を使っても、電気代は毎月変化します。これは明細書上、燃料費調整として書かれています。

明細書の読み方については、以前の記事を御覧ください。

では、実際のところ燃料費調整ってどんなものかを見ていきましょう。

電気代を知るために、電気の作り方を知る

みなさんが使っている電気は発電所で作られています。
そして、発電所にも電気の元となるエネルギー資源の違いでいくつものタイプがあります。
例えば、原子力発電所、火力発電所などがありますね。

東京電力の持つ発電所の種類が、どのように変化してきているかをグラフにしてみました。
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東日本大震災の影響もあり、最新のデータだと、化石燃料を使った原油・石炭・LNG発電所の割合は65%以上にもなることがわかります。

経済情勢と電気代

要は、日本の発電はまだまだ化石燃料に頼っているということです。

この燃料はほぼ全て海外からの輸入に頼っており、その値動きは電力会社の企業努力ではカバーしきれません。

発電燃料の値動きの影響を迅速に電気料金に反映し電気会社が安定して電気をつくれるようにと、事業者の効率化努力のおよばない燃料価格や為替レートの影響を外部化するために平成8年1月から燃料費調整制度が導入されました。*3

当初は四半期ごとの反映でしたが、変動の激しさから平成21年度より反映期間を2ヶ月とし、三ヶ月分の平均燃料価格を毎月反映する仕組みが導入されています。

どうやって計算しているの?

今回は、東京電力の場合を例に燃料費調整の計算の仕方を調べてみました。

貿易統計価格

調整額を決めるのに元となるデータが、政府が出している貿易統計価格です。
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どの燃料にしても、価格が年々上昇傾向にあることが読み取れます。
蛇足ですが、LNGの価格の変化は原油から半年ほど遅れることが読み取れたりして、面白いですね。

平均燃料価格

燃料の貿易統計価格を、地域を担う発電所の種類に応じて重み付けして足し合わせたものが、平均燃料価格と呼ばれるものです。

地域によって発電書の種類に偏りがあるため、地域ごとに違った価格になります。
例えば東京電力の場合、関西では石炭発電所の割合が多いためか価格が安くなる傾向にあります。
関東だと、LNGの寄与が多くなっています。
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燃料費調整額

やっと燃料費調整額にたどり着きました。

ここまでくれば、あともう一歩です。

電力会社は、使った電力1 kWhに対して基準となる値段を予め決めています。
またそれと同時に、地域ごとに基準となる燃料価格の価格も定めています。

予め決めた値段に対して、実際にどれくらい値段が変わるかを1 kWh単位で求めたものが燃料費調整額になります。
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例えば毎月300 kWhの電力を使うご家庭だったとして、燃料費調整が1円/kWh変わると300円電気代が安くなることになります。

まとめ

いかがでしたか?

電力会社持っている発電所によって、電気料金の変動の仕方が異なることがわかりました。

「中東情勢が悪化しているから電気代が上がりそうだな」なんて訳知り顔に話す人に対しても、計算方法を知っていれば「家計へのインパクトは〇〇円位だね」なんて切り返せるかもしれません。

節約を目指して電力会社を乗り換える際には、こういった点にも着目すると良さそうです。

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